セコネ
HRテック・採用DX・AI活用2026.09.16

AI支援に毎月何十万も払い続ける前に。がっつり要るのは最初だけ、外せないのはセキュリティだけ

AI支援会社は毎日のように増えているが、がっつり入ってもらう必要があるのは導入の最初だけだ。1か月手を動かせば人は勝手に使い始め、そして聞いてこなくなる。その先で崩れるのはセキュリティだけ。自社の経理担当に2時間半で教えた実例から、支援の型を書く。

先に結論を書いておくと、AI支援にがっつり入ってもらう必要があるのは導入の最初だけだ。1か月も自分で手を動かせば人は勝手に使い始める。毎月何十万も払って、ずっと横にいてもらう理由はない。

AI支援の依頼はどんどん増えているし、AI支援会社も毎日のように新しい会社が出てくる。ただこの1年、自分で支援をやってきて思うのは「そんなにお金をかけなくていい、自分でやればいい」ということだ。この記事はその理由と、では支援は何をすべきかを書く。

使い始めた人は「聞いてこなくなる」

顧客のAI支援をしていて痛感するのは、使い始めると聞いてこなくなるということだ。本当に使っている人は何でもできるし何でもやってくれると分かった瞬間に「自分で何でも命令してAIにやらせよう」となる。

これは非常にいいことだ。支援する側からすれば狙いどおりで、最初の数週間に来ていた「これはどうやるのか」という質問は、日に数回から数日に1回になり、やがて来なくなる。ここで支援会社の出番は本来終わる。

問題は聞いてこなくなった後に何が起きるかだ。

それでも必ず詰まる場所が3つある

自分でやっていて必ず詰まるポイントがある。1つ目は基本となるフォルダ構成で、どこに何を置いてAIに何を読ませるかを最初に決めていないと、しばらくすると自分でも分からなくなる。2つ目はメモリ管理、つまりAIに毎回言わなくても覚えておいてほしい前提をどう持たせるかだ。3つ目はMCP連携で、これはAIを社内のメールやファイルや外部サービスとつなぐ仕組みのことだと思ってもらえばいい。

この3つは使い方をいくら覚えても自然には身につかない。使えば使うほど後回しになる種類の話で、詰まった時に「ここを直せばいい」と言える人が横にいるかどうかで、その後の半年が変わる。

ただこの3つより重要なことがある。

一番危ないのは「便利じゃん」

セキュリティ意識が薄れていく。これが一番重要だ。

大体、好きにやらせると何でもかんでもAIに食わせて、何とでも連携してしまう。応募者から届いた職務経歴書をそのまま読ませる。受信箱を丸ごとつないで要約させる。社内の共有ドライブを全部見えるようにする。「便利じゃん」と思ってどんどんやってしまう。

やっている本人に悪意はない。むしろ熱心に使っている人ほどこうなる。禁止すればいいという話でもなく、以前書いたとおり全面禁止は行動を見えない場所に移すだけだ。届いたメールをAIが疑わずに開くリスクについても別の記事で書いた。

だから支援側がやるべきことは「これだけはやってはダメ」「ここが危険」という点だけを聞かれなくてもこちらから刷り込むことだ。使い方は聞かれた時に答えればいい。セキュリティだけは聞かれないからこそこちらから毎日渡す。

社内で試した。経理担当に教えたのは2時間半だった

この考え方を自社で試した。うちの経理担当はいまClaudeとCodexを毎日使っているが、教えたのは実際2時間半程度で、あとは1日数回のチャットでやりとりしただけだ。本人は「もはや手放せない、AIに使われている」と言っている。

2時間半で何を教えたかも簡単で、パソコンの設定と基礎に1時間半、セキュリティ教育に1時間。基本これだけだ。それまでこの種の道具に全く触れてこなかった人が一番引っかかるのは、そもそもの設定で突っかかることと、妙に怖がることの2つで、ここだけは横についてしっかり教える。

あとは私が普段やっていることを、その場で簡単に見せた。最初に見せたのは採用向けのデモで、AIに見せるフォルダを1つに決め、そこに個人情報を消した応募書類を入れると管理表とダッシュボードが立ち上がる。元の書類にはAIが触れない構造なので「見せる場所を決めれば怖くない」が一度で伝わる。次に経理の仕事に寄せて、領収書をまとめてフォルダに入れ「これをどう管理したらいい」とAIに聞いてみせた。名前の付け方を決めたいなら「この種類はこう付けて」と言えば一つずつ手で直さなくてもリネームは一瞬で終わる。手作業で1時間かかっていたものが目の前で消えると、怖さは消える。

使い方そのものは教えていない。「なんでもいいからやってみたいと思うことを普通にAIに聞いて会話していけばいい」と言っただけだ。社内教育なら、これで基本放置でいい。

放置しても崩れないのは、セキュリティのところだけを最初に1時間かけて刷り込み、その後も毎日こちらから流しているからだ。AIに入れてはいけない情報の線引き、勝手に連携を増やさないこと、メールのリンクをAIに踏ませないこと。この3つは本人が聞いてこなくなった今もこちらから渡し続けている。

支援会社が毎日生まれる時代に、1年やって思うこと

冒頭に戻る。がっつり入る必要があるのは導入の最初だけで、1か月も自分で手を動かすともう勝手にやり始める。毎月何十万も払って、ずっとがっつり入ってもらう必要はないのではないか。1年支援をやってきた実感としてそう思っている。

弊社も基本、3か月か半年で自走できる前提で支援している。ただ「突っかかるポイント」は分かるので、月1の打ち合わせと都度のチャット、そして能動的な情報提供とセキュリティ教育の刷り込み。この4つは残す。がっつり入るのではなく、詰まる場所と危ない場所を知っている人が、聞かれなくても横から声をかける形だ。

これが今後のAI支援だと、あくまで個人的には感じている。

最初だけ横につき、あとは危ない所だけ声をかける

AIを社内に入れる時に一番高くつくのは、支援会社への支払いではない。「便利じゃん」で何でも食わせた結果として起きることの方だ。逆に言えば、最初の設定とセキュリティの線引きさえ済めば、あとは本人とAIの会話で勝手に伸びる。

セコネのAI活用支援はこの形で組んでいる。最初だけ横について環境とセキュリティを作り、そのあとは月1の打ち合わせとチャット、そしてこちらからの情報提供で自走を支える。「毎月がっつり」ではなく「最初だけしっかり、あとは危ない所だけ」で足りると感じている方は、ご相談いただきたい。

AI活用支援について問い合わせる

※関連記事:「「危ないから禁止」がいちばん危ない。セキュリティ業界出身の私がAI全面禁止に反対する理由」/「AIは、届いたメールを疑わない。採用担当の受信箱を任せる前に決めておくこと」/「人事がまず契約すべきAIはどれか。比較で止まらないための結論


著者:高田 祥
セキュリティ人材専門の採用コンサルタント。株式会社セコネ代表。
情報処理安全確保支援士(登録番号 第019946号)。上級個人情報保護士。個人情報保護監査人。CompTIA Security+。
セキュリティベンダー・事業会社のセキュリティ採用を、職種設計からスカウト・面接設計まで一貫して支援。採用業務でのAI活用に関する整備支援にも対応。

採用のAI活用、個人情報の扱いは大丈夫ですか?

個人情報を消しながらAIを使う方法を、実際の画面でご確認いただけます

SERVICE|採用のセキュアなAI活用支援

採用業務のAI活用にお悩みの方へ

株式会社セコネでは、応募書類の「危ない情報」をマスクし、プロンプトインジェクションへの一定の対策まで実施する「conneMas」の提供に加えて、管理表やダッシュボードの作成、ATS運用の自動化などのAI伴走支援も行っています。

採用はAIで効率化できます。ただし「安全に」使うことが前提条件です。「人事だから技術は分からない」「AIをどう使っていいか分からない」。何も気にする必要はありません。ノンITでもAIは使いこなせます。採用でのAI活用にお悩みの際はどうぞお問い合わせください。