先に結論を書いておく。人事がClaude Codeを使うなら、基準は今のSonnet 5のhighのままでよい。上げるのは判断が要る瞬間だけで、型が固まった作業はむしろ下げる。
2026年9月1日にAnthropicがClaude Fable 5.1を出した。ちょうど支援中の顧客に「Claude Codeはどのモデルで使っていますか」と聞いたところ「Sonnet 5でeffortはhighです」という答えだった。聞かれるまで設定を意識していなかったというのが正直なところで、忙しい採用の現場ではそれが普通だ。新しいモデルが出たからといって設定を見直す時間はないし、そもそも見直すべきかどうかの判断材料がない。使い分けを一枚にまとめて渡したので、その中身を書いておく。
そんな細かい設定は人事が触るものではないと思うかもしれない。ただここを決めずに使うと、月の途中で利用上限に当たり、採用が一番忙しい週にAIが止まる。逆に決めてしまえば同じ料金で回せる仕事の量が変わる。
Claude Codeを人事が使うとは、どういうことか
Claude Codeはフォルダを見せて「これを読んでこう作って」と頼むとファイルを読み書きして直すところまで自分で進めるAIだ。以前の記事で「フォルダ自律型」と呼んだ使い方がこれで、求人票の下書きや候補者管理表の整形や議事メモの要約をチャットに貼るのではなくフォルダごと任せられる。
このClaude Codeには「どのモデルで動くか」と「どれだけ深く考えるか」の2つの設定がある。前者がモデルの選択で、後者がeffortと呼ばれる考える深さの設定だ。人事の方が迷うのはほぼこの2つで、しかもどちらも公式の答えがある。
モデルは3つ、消費は1・2.5・5
Claude Codeで選べる主なモデルはSonnet 5・Opus 5・Fable 5.1の3つで、公式の位置づけを並べると次のとおりだ。応答はこの順に遅くなる。
- Sonnet 5は「速さと知能のバランスが最良」
- Opus 5は「複雑な自律作業と企業業務向け」
- Fable 5.1は「高度な推論と長時間の自律作業向け」
料金は入力100万トークンあたりSonnet 5が2ドル、Opus 5が5ドル、Fable 5.1が10ドルだ。定額プランで使っている会社に請求額は関係ないように見えるが、関係あるのは利用上限の消費速度のほうだ。この単価比がそのまま目安になる。Anthropicのサポート記事にも「Opusは1ターンあたりSonnetの数倍のコストがかかり、SonnetはHaikuより高い」と書かれている。Sonnetを1とすればOpusは2.5倍、Fableは5倍の速さで上限を使う。
「全部いちばん良いモデルで」が、一番高くつく
上位モデルが出た日に全部を上位へ切り替えるのが一番損だ。Fable 5.1の位置づけは公式が明確に書いている。ほとんどの作業はOpus 5から始め、Fable 5.1は高度な推論と長時間の自律作業に使うかOpus 5を深く回しても評価が届かない時に使う。要所に撃つモデルであって常用モデルではない。
しかも5.1で変わったのは低い設定でも前世代並みに強くなったことだ。発表文には「lowやmediumに設定したFable 5.1はFable 5と同等以上の結果をはるかに低いコストで出す」とある。いちばん良いモデルを常に最大で回すという発想は、作った側が自分で古くしている。
ではSonnet 5のhighのまま使っていたこの顧客は損をしていたのか。していない。Sonnet 5は型が決まった作業を速く軽く回すためのモデルで、Pro/Team Standardプランの既定モデルでもある。損をするのは「全部Sonnet」ではなく「全部Fable」のほうだ。
effortは「考える深さ」。既定はhigh、maxは考える瞬間だけ
effortにはlow・medium・high・xhigh・maxの5段階があり、Sonnet 5もOpus 5もFable 5.1も既定はhighだ。上げるほど深く長く考え、上限の消費も増える。
ここで公式が書いていることを一つ紹介したい。「多くの作業ではコスト増に対して品質向上は比較的小さく、考えすぎにつながることがある」。maxを常用すると遅くなるだけでなく判断のいらない作業で余計に考え込む。運用の実感を足すと転記や修正のような手を動かす作業をmaxで回した時に、考えている途中の仮定が結果に混ざったことがあった。深く考えるほど考えたことと確かめたことの境目が見えにくくなる。
だからmaxは採用方針の壁打ちや求人票の構成や提出前の最終レビューのような「考える瞬間」だけに使い、作業に入ったら戻す。戻し忘れの心配はない。maxはセッション限りで保存されず、新しいセッションでは元の設定に戻る仕様になっている。
採用業務は「考える・作る・回す」に分けると選べる
顧客に渡した早見表はこうなる。採用業務を3つに分けてからどのモデルとどの深さで回すかを決める。
考える・決める。採用方針の壁打ち、求人票の構成、提出前の最終レビュー。ここはOpus 5のxhighで、重い時だけmaxに上げる。余裕があればFable 5.1。
作る・書く。求人票のチェックと文言修正、スカウト文面の新しい型、社内向けの説明資料や稟議文。ここもOpus 5で、慣れてきたらhighに落とす。文章の機微や判断が要る作業はこの段で質が決まる。
回す。決まった型でのスカウト文面の量産、候補者管理表やレポートの整形と集計、議事メモの要約と分類。ここはSonnet 5のhighで十分で、同じ作業の繰り返しならmediumでもよい。公式もSonnet 5のmediumを旧Sonnet 4.6のhigh相当と説明している。
型が固まった仕事をSonnetに降ろす。それが一番効く
三つに分けた狙いは上げることより下げることにある。一つの業務は「考える→型を作る→回す」と進む。Opusで考えてOpusで一本目を丁寧に作って型を固め、二本目以降はSonnetで回す。回している途中で型に合わない案件が来たらその場でOpusに上げて型を直し、直ったらSonnetに戻す。
切り替えの操作は2つしかない。モデルは/model opusや/model sonnetのように名前で切り替え、深さは/effort xhighのように段階で指定する。迷ったら/effort autoで既定のhighに戻せる。一度選んだ深さはモデルごとに保存されるので毎回設定し直す必要もない。
人事の現場で一番効いたのはこの「降ろす」ほうだった。上げる判断は誰でもできる。下げる判断は「品質が落ちるのではないか」という不安が邪魔をする。公式が既定をhighに置きSonnet 5のmediumを旧世代のhigh相当だと書いている事実が、その不安を外す材料になる。
どの作業をどれで回すかは、実際の作業を見ないと決まらない
ここまで書いた早見表は出発点であって会社ごとの正解ではない。求人票を月に何本作るのか、スカウトを誰が何通打つのか、候補者管理をどの表で回しているのかで、上げる瞬間と下げる作業の境目は変わる。
セコネは採用業務のAI活用をこうした「どの作業をどの設定で回すか」の整理から運用に乗せるところまで支援している。新しいモデルが出るたびに悩まなくてよい状態にしたい方はご相談いただきたい。
※関連記事:「人事がまず契約すべきAIはどれか。比較で止まらないための結論」/「「危ないから禁止」がいちばん危ない。セキュリティ業界出身の私がAI全面禁止に反対する理由」/技術者向けの全体版はZenn「Claude Fable 5.1が出たので、Claude Codeのモデルとeffortの使い分けを整理した」
著者:高田 祥
セキュリティ人材専門の採用コンサルタント。株式会社セコネ代表。
情報処理安全確保支援士(登録番号 第019946号)。上級個人情報保護士。個人情報保護監査人。CompTIA Security+。
セキュリティベンダー・事業会社のセキュリティ採用を、職種設計からスカウト・面接設計まで一貫して支援。採用業務でのAI活用に関する整備支援にも対応。
出典:Anthropic「Claude Fable 5.1 and Mythos 5.1」(2026年9月1日)/Anthropic「Models overview」「Effort」(2026年9月2日確認)/Anthropic「Models, usage, and limits in Claude Code」(2026年4月15日)/Claude Code「Model configuration」(2026年9月2日確認)