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HRテック・採用DX・AI活用2026.09.28

大手出身者はいらない?ベンチャーは無理?違う、差を理解せよ(ソフトバンクから10名未満の会社に転職した実体験から)

社内ポータルも申請フローも全部システムで整っている大手から、何もない全部紙申請のベンチャーへ。両方を経験した立場から言えるのは、大手出身者を採りたいなら「うちにはこれが無いよ」を面接で正直に言えるかどうかだ。ギャップは隠すものではなく口説き文句に変えるもの。

私が1社目に新卒で入社したのはソフトバンクだった。一言で言えば「良い会社」だ。社内ポータルも申請フローも稟議も経費精算も何でもそろっていて、すべてシステムで綺麗に整っていた。最初はシステムが多すぎるし差も分からず何が何だか分からなかったが、「型」を体に叩き込めたのは、今思えば大きな財産だと思っている。

ではそういう大手で育った人が10人以下のベンチャー、しかもITが強くない環境に行くとどうなるか。本当にたまげる。たまげた システムなんて何も無くて全部紙。フローも無い、必要になったらその場で作る。規定は法的に最低限のものだけ。私自身がそうだったし、ベンチャーに行った人の話を聞いてもだいたい似たことを言う。「入ったらこうでした」と笑い話にする人もいれば「こんなはずじゃなかった」と転職相談に来る人もいるのが実情だ。

この記事ではその分かれ目がどこにあるかという話をしたい。結論を先に言うと、会社側が「うちには何が無いか」を面接で正直に言えたかどうかで採用成功か失敗が決まるということだ。

大手とベンチャー永遠の「すれ違い」

大手出身者が面食らうのは、「あるのが当然だと思っていたものが、無い」こと。

たとえば就業規則は常時10人未満の事業場なら法的には作成義務がない(労働基準法第89条)。「就業規則が無いベンチャー会社」は普通に存在するということだが、これを聞いただけで「え?!」と思う人も多いはずだ。稟議システムが無いのも、経費精算が手作業なのも、全く普通のことだ。だって「必須」じゃないんだから。そこに投資している暇も余裕もないということだ。

問題はこの現実が入社前に共有されないことにある。ベンチャー側は「これが当たり前」なので面接で言わなきゃいけないものだと気付かない。候補者側は「あるのが当然」すぎて質問する発想がない。双方に悪意ゼロのまま、入社後に「なぜ?!」という衝撃だけが起こる。

入社前に伝えた「無い」はやりがいになり、入社後の「無い」は短期離職理由になる

採用する側にこそ知ってほしいのはここからだ。同じ「無い」でもいつ知ったかで意味がまるで変わる。

入社後に発覚した「無い」は不満になる。「聞いていなかった」「隠されていた」と転職者はあとで思うからだ。不満は積み重なって、早期離職につながる。

一方で入社前に聞いた「無い。だから作ってほしい」は活躍の機会になる。フローが無いことを知った上で来た人にとって、フローを作ることはミッションだ。実際、大手で型を叩き込まれた人がベンチャーでその型を移植する仕事は、本人にとってもキャリアの武器になる。同じ事実であっても、伝えるタイミングひとつでやりがいにも転職理由にもなるということだ。

だから面接で取り繕うのは損しかない。「うちはまだ何も整っていません。あなたに整えてほしいんです」と言える会社は強いベンチャーであり、成長していく。

「無い」ことを認められるか?

とはいえ「うちに無いもの」が何なのか、ベンチャーしか経験していない人にはそもそも分からない。だからこそ外の世界を知る人が大切だ。大手出身中途入社者がいれば大手との差を聞くべきだし、ベンダーやコンサルに聞いても良い、友人知人でもなんでもいい。出来れば採用担当が「差」をしっかり理解して、制度、システム、教育体制などまで自社の現実と大手との差を整理して面接で自ら候補者に話すことだ。

ある意味今の私があるのは、ソフトバンクで叩き込まれた大手の型と、ベンチャーで受けた衝撃の両方の経験を実体験で持っているからだと思う。1社でずっと経験してきた人は、いずれにしても転職で衝撃を受ける。だからこそその衝撃を出来るだけ少なくし、ミスマッチを無くしたいと思い普段企業の採用支援をしている。

「え、大手って、そんななんですか?」「ベンチャーって就業規則も無いの?!」どちらもこの数カ月で支援している企業の人事から聞いた言葉だ。
大手の人を採用したいが中々うまくいかない、短期離職が多い、どんな相談でも良いので気軽に問い合わせしていただきたい。

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著者:高田 祥
セキュリティ人材専門の採用コンサルタント。株式会社セコネ代表。
情報処理安全確保支援士(登録番号 第019946号)。上級個人情報保護士。個人情報保護監査人。CompTIA Security+。
セキュリティベンダー・事業会社のセキュリティ採用を、職種設計からスカウト・面接設計まで一貫して支援。採用業務でのAI活用に関する整備支援にも対応。

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