セコネ
HRテック・採用DX・AI活用2026.10.26

OneDriveの同期が数日止まっていた。犯人はAIの一時ファイル、ClaudeとCodexは責任の擦り付け合い

共有フォルダの同期が、雲マークも緑のチェックも正常のまま数日止まっていた。選考状況の台帳を同僚と更新している採用チームなら他人事ではない。原因はAIが資料を確認する途中で一時ファイルを高速に作っては消していたこと。AIに何を決めておけばよかったのかを書く。

今回の記事を読んで欲しいのは以下の人だ。
(1)OneDriveやSharePointなど同期が必要な共有フォルダで選考状況の台帳や応募者一覧を複数人で更新している人
(2)AIに応募者一覧の整形(個人情報はマスクしてから渡す前提)や求人票などの資料作り(Word・Excel・PowerPoint・PDF)を任せている人
...ほとんどの採用チームがそうじゃないだろうか?地味に土日を潰すことになったので事故になる前に読んでおいて欲しい。

結論としてはAIが「裏でどうやって資料を作っているか」が事故の原因であり「同期が必要なフォルダ上で全作業をさせると死ぬ」ということだ。
具体的に何が起きたか。

私は同僚とOneDriveで1つのフォルダを共有して、そこで一つのプロジェクトを一緒に進めている。最終的にはExcelなどに両者の進行状況が記載され、重複なく1つの作業を片付けていき、常時それがダッシュボードにも反映されるというものだ。そんなやり方をしている企業やプロジェクトは多いんじゃないかと思う。採用でいえば、選考状況の台帳を人事と現場で同時に更新しているようなものだ。

ただ今回、そのOneDriveの同期がいつの間にか止まっていて、気づいた時には数日たっていた。気づけたのは同僚に「数日何も更新されていないけど、仕事してる?」と聞かれたからだ。
いやいや、俺めっちゃこの数日プロジェクト進めたんだが?え、入ってない?嘘だろ...俺の今週の仕事どこ行った?!

と思って調べてみると、こちらで案の定私が直したファイル、更新した作業はローカルでだけ最新で、OneDriveに反映されておらず相手には届いてなかった。もちろん、相手の更新も私には見えない。つまりお互いに、数日前の古いルール・ファイルのまま作業を進めていたということ。
私のフォルダでは緑のチェックで、エラーも出ていない。同期されていると思っていたのに「入っていない」と言われて驚愕した。何が問題なの?なんでOneDrive上は正常なの?これじゃ共有の管理表をそれぞれ別のExcelに書いちゃっているのと同じで、管理番号まで被るじゃん。
案の定1週間分のお互いの更新を全部見直すことになった。

そもそも何日止まっていたのか?共同で更新し一つのファイルを作っていくものだったからそのチェックが大変だ。変に正確性が求められ、全データに影響するマスターファイルでもあるためだ。
「重複はどこだ?私の更新が反映されてないのはどこだ?相手が更新したのに入ってないのはどこだ?」と調査する羽目になり頭を抱えた。

結果としては約4日分だったわけだが、修正にこの土日が潰れた。

調査すると、この更新が止まる直前、私はCodexとClaudeに同じ資料を相互チェックで作らせていた。そう同僚は何も悪くない、完全に私のせいだったわけだ。
じゃあ私の何が原因だったか?AIの挙動のせいじゃないかと思い、AI自身に調べさせるとClaudeは「Codexのせい」と言い出し、それを見たCodexは「やったのはClaudeです」と返してきた。

おい、喧嘩するなよ...とまさか「AIという子供同士の喧嘩」を止めるかのようなことになった。
私としては「どっちのせいでも良いから原因を究明して直してよ...」という思いなのだが、「あぁ、2026年はAIの喧嘩の仲裁に人間が入る時代なんだな」となんとなく思った。しかも休日出勤で。

その結果分かった原因はやはりAI独特の挙動が原因で、資料を確認する途中で私の知らないうちにOneDriveの中のファイルを何度も消しては作り直していたことだった。

私はAIがそんなやり方をしていることを知らなかった。いや、正確には流れる表示の中で「あぁ都度作成しては消してるのね、そうやらないといけないのね」と変に納得していた。
人間の目とは異なるため、しっかり表示がされているか、崩れていないかをチェックするために、AIは資料を作る時に都度画像化したりスクリーンショットを取ってしっかり表示されているかを確認しているわけだ。それは知っていた。
ただその「一時ファイル」は完成形の資料には当然不要なわけなので、作っては消していたのだ。
つまり完成資料を見る際に私は一度もその一時ファイルを見ることはない。

別に私の手間にならないならAIが何を作って消していようが別に良いや。
「部下がやり方が何であれ結果出してくれるならそれで良いだろう、都度小言は言わんさ」というエセ上司よろしく偉そうにしていたらその過程が問題だったわけだ。

結論としてはこの一時ファイルの作成と削除、こいつが問題、というよりこの動きが超高速すぎてOneDriveをぶっ壊したということだ。
「マイクロソフトもこんな超高速で動かれるとは思ってないだろうな~壊れて当然だよなぁ」と妙に納得してしまった。

OneDriveは「完全黙秘」壊れて沈黙を貫いた

同期が止まったと聞くと、右下の雲マークのエラーの通知や赤いアイコンを想像すると思う。エラーが出たらそこに出るよねというやつだ。
(例えば同期できないファイルがあると、右下の雲マークに赤いバツが付きますよね。)
これが今回無かった。
雲のアイコンも、フォルダを開いたときのファイルの表示もいつもどおりで、何ならフォルダ上のファイル右の「緑チェック」マークも全部正常。
あとでログを見ても「問題なし」のままだった。それなのに実際は何も同期されていなかった。
これ困りますよ、目では何も異常って分からないので。

ログを追うと、ある瞬間を境にOneDriveの中で同期の処理が止まり、そのまま固まっていた。しかも止まったのはプロジェクトのフォルダだけじゃなく、OneDrive全体だった。気づいたのは同僚の報告だったが「私のOneDriveすべての同期が死んでいた」ということだ。
このままだと数日やったもの全部が同期されない。

OneDrive黙秘の前に、AIが裏でやっていたこと

OneDriveのログを読み解くと、止まった瞬間に何が起きていたかを秒単位で追えた(読み解き方は長くなるので割愛する)。

その時AIは「Wordを作るのに見え方が正しいかを自らチェックするために」資料の変更点をPDFにまとめてページごとに画像にし、見た目を確認していた。人ならやらない。ただAIは人間のようにWordを画面で見られないので、こうやるしかないわけだ。

当然、確認用の一時ファイルなので保持する意味は無い。表示を確認するたびにフォルダの中身を全部消してまた作り直す。私が頼んだのは資料の作成とチェックで、こういう確認の仕方は指示していないが、別に何か変なスクリプトをたたいているわけでも無し、単純なことの繰り返しを高速でやっているだけだから「OK,OK。やり方は自由よ」と放置していた。

ただ問題はAIの動きとOneDriveの動きの差だ。ちょうどその作り直しの最中にOneDriveは裏で画像をアップロードしていて、サーバーに「送っている途中で中身が変わった」とはじかれたわけだ。
つまりAIが高速でファイルをいじっているため、遅れて同期するOneDriveは「ファイルが消えた?!」と判断してフォルダ全体を調べ直し始め、「ない、あたらしいのがある?...ワカンナイ」となって(多分)、そこから先、同期は一度も動かなかった。
※これOneDriveの気持ちになって考えてみた。
「同期させてね」と頼まれて、
・右から左にファイルをしっかり渡そうと思った
・その矢先に元のファイルが消された
・動かしたはずのファイルが無い
・と思った次のファイルが送られてきた
・動かしたはずがまた無くなった
...もう知らん!となるのも当然というか、ベルトコンベヤーで右から左にものを移す作業中に同じことが起こった時を想像したら、人間なら発狂しますよね。

※あくまで私の想像のためOneDrive先生がなぜこれで止まったかはMicrosoftにしか分からないし、真実は分からない。イメージの話だ。

当然、人間ならわざわざWordの見た目チェックのために、何度もPDF化して1ページずつ画像にして確認なんてしませんよね。しかも時が止まるぐらいの高速でそんな意味のないことをするわけがない。
でもAIは「人間にとって意味がないことでも確認方法としてそれが正しいなら平気でやる」。
しかも今回の問題は「その一時ファイルを同じOneDrive上に置いていた」のが問題だったということだ。

同期という(ベルトコンベヤーと言いましたが)のが必要なOneDriveにわざわざその一時ファイルを置かなければ、OneDriveだって困惑することは無かったわけだ。
完全ローカルで一時ファイルを置いておけばこんなことにはならなかった。これが解決策でもある。

ClaudeとCodexの喧嘩。さてどっちが悪かった?

原因と結果はこれまで書いた通りだが、この結果を得るまでにClaudeとCodexは責任の擦り付け合いを始めた。

最初Claudeに聞いてみたら(ちなみに最高級のFable 5.1 Maxで聞いた)「OneDriveの内部でエラーが出て同期が固まった。原因は確定。Codexの作業のせい」
...Codexのせいで「確定」とかなり強めに言ってきた。

私も最初これを聞いたとき「確かに同じ資料を両方に触らせていたので、Codexと言われればそうかもしれない」と思った。

ただ、喧嘩になったとき片方の言うことだけを聞くのはフェアじゃない。両者の意見を聞かなければ!と思い念のため、Claudeの報告をCodexに見せて確認させてみた。

するとCodexの返事は以下だった。
「ファイルを消して作り直していたのはCodexではなくClaudeだ。ログにもそう残っていた。Claudeが自分のやったことをCodexのせいにしている。
Claudeが原因だと言った内部のエラーは止まる前にも何十回も出ていて、そのたびにOneDriveは普通に動き続けていた。そのエラーが出ること自体は珍しくない。いつもと違ったのは、OneDriveがアップロードしている最中にAIがそのファイルを消して作り直していたことの方だった。それをやったのは私じゃない。Claudeだ。私だって同じことをやるけど、アップロード中に消すことはしないよ」

...Winner Codex。。
原因はClaudeの作業のやり方で、しかも調べていたClaude自身は、別の作業でそれをやっていたことを把握していなかった。
「すみません私のせいです。やったことを知りませんでした」とClaudeが最後謝ってきた。
つまり、AIが途中で何をやっていたかは人間どころかAI本人も分かっていないことがあるということだ。
ただそれが原因で思いっきり重大事故は起こり得る。

怖い話だと思う。

一時ファイルは全部OneDriveの外で作らせる

原因が分かれば、やることははっきりしている。やったことは3つで、どれも「OneDriveの中をAIの作業場にしない」これに尽きる。

1つ目はAIに置き場所をはっきり指示すること。今回はAIがそういう作業をしていることを問題視していなかったし、OneDrive上でやることでそんな問題が起きると思っていなかったので、指示を出すことも出来なかった。
知ってしまえば簡単だ。「そういう間の作業で削除と作成を繰り返すものは同期が必要なフォルダでやらない。つまりOneDriveの外でやって、完成品だけを最後にOneDriveへコピーしてね」ということ。
一時データなんて私はいらないし、そんな「意味のない」ファイルのせいでOneDriveを困惑させてはいけない。

2つ目は指示を忘れても大丈夫なように「道具」で止めること。AIを使っている人なら分かると思うが、AIへの指示書(ClaudeならCLAUDE.md、CodexならAGENTS.md)に「一時ファイルはOneDriveの外へ」と書いたとしても、AIは長く作業しているとこういう一文を平気で忘れる。
そこで資料を作るスクリプト自体に、保存先がOneDriveの中なら「動くな」という仕掛けを入れた。こうしておけば、AIがルールを忘れてもOneDriveの中では途中の一時ファイル作成作業ができない。できないと「あ、元ファイルに書いてあった。てへ、忘れてた」と言って動き始める。
AIは「超天才だが平気で読み飛ばす」ものだと思っているので、そもそもの制御で止めるということだ。

3つ目は止まったらすぐ気づけるようにすることだ。これは見張りを置くのが良い。仕組みは単純で、見張りたいフォルダに小さな目印のファイルを1つ置き、それがクラウドに上がったのを確かめてから1時間に1回書き換える。15分ごとに「目印はちゃんと上がったか」をWindowsに聞き(Windowsには同期済みかどうかを確かめる仕組みがある)、30分たっても上がっていなければ通知を出す。
まぁ、言ってしまえば「ちゃんと同期されている?」ということを見張る仕組みをOneDriveの通知以外で設けるということだ。今回数日気づかなかったものをPCが動いている間なら1時間半ほどで気づけるようになる。
この辺の仕組みは手元のAIに聞けば作ってくれると思う。便利な時代になったものだ(ただ見張りに権限持たせないように...削除までされたら大変なのであくまで通知に絞るのが大事だ)

おわりに

振り返ると、完成品の保存先は毎回きちんと指示していたのに、途中で作るファイルの置き場所は一度も指示していなかった。というより、AIが途中でそんなファイルを作っていること自体を知らないケースもあると思うし「別に作ったって問題ないから完成すれば良いよ」というシーンは多いと思う。
AIは言われた場所に完成品を置き、言われていない途中の作業は手元、つまり放っておくと同じOneDriveのフォルダの中でやる。それで問題が起きてなかったからこれまで気づかなかっただけだ。

こうやって振り返ってみると、今回やったことは新人を育てるのとほとんど同じだった。

作業は自分の机でやっていい、やり方は変なことをしなければ別に過程は何でも良い。完成したものだけ共有してね。

ただこれが人なら、机の上が散らかっていれば目に入って「何やってんの?」と聞けると思うが、AIの机の上はこちらから覗きに行かない限り見えない。
このあたりが「AIをマネジメントすること」の難しい所だと思った。

採用業務でも応募者一覧の整形や求人票づくりをAIに任せるなら、完成品の置き場所だけでなく途中のファイルをどこで作らせるかまで決めておきたい。

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著者:高田 祥
セキュリティ人材専門の採用コンサルタント。株式会社セコネ代表。
情報処理安全確保支援士(登録番号 第019946号)。上級個人情報保護士。個人情報保護監査人。CompTIA Security+。
セキュリティベンダー・事業会社のセキュリティ採用を、職種設計からスカウト・面接設計まで一貫して支援。採用業務でのAI活用に関する整備支援にも対応。

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